蒼い家
津雲むつみ氏の「蒼い家」です。
女性漫画家が扱った数少ない主題の作品と言えるでしょう。
もっと多くの作品を希望したいのですが、体験談でもない限り
こういった作品は難しいのかもしれません。
お見合いで結婚した夫とはうまくいかず、
妻として家庭に居場所がない主人公は、
我が子が性に興味を持ち始めたことに戸惑いを持ってしまう。
やがて母親としての自分を取り戻した彼女は
息子との後戻りできない迷宮へと踏み込みます。
この二人の絆が結ばれる運命の初夜を迎えた理由が
「家庭内で居場所がない妻」というのが
女性漫画家ならではの視点と言えます。
後半で医師が説明しますが、母と息子が陥る蟻地獄の描写を
的確に表現していますし、断崖絶壁に立つ
女性の心理にも思えます。
その複雑な心理を最も描写していると思えるのが母と子が
一緒に買い物しているしている場面です。
複雑な立場とは言え、家庭に居場所を取り戻した女性の姿ですが、
知らずに底無し沼のような倒錯の魔界へと踏み込み始めている
ように見えます。
そして一度ならず何度も母は愛する息子と絆を深める
ただひとつの道と信じて自らも倒錯の世界へ
堕ちることを決意します。
あっさりしていると感じるか、割り切っていると思うか、
男性の視点では禁断の情事の描写が評価が
分かれると思いますが、この作品がアダルトではなく、
一般作品に分類されている以上致し方ないと言えます。
意外な展開と思うかもしれませんが、やがて息子は
一流大学を卒業して大企業に勤め、結婚と子供も授かり
他人が羨む人生を送ります。
しかし心に歪みを抱えたままの息子は、
破壊的な結末を選択してしまいます。
その時点で息子の父は、越えてはならない一線を
越えてしまっていた母と子を医師から説明され知ることになります。
後味の悪いラストと評価されるコメントが多いですが、
初掲載が85年であることを考察するなら、
平成の最後の年に昭和の、しかも日本がバブルという
好景気の時代あたりの作品を当プログで紹介できたことは
感慨深いことです。
色々な意味であの時代の側面を切り取った作品と言えます。
蒼い家 DMM一般作品 お求めはこちらから
掲載 YOU 1985年10月・11月号
女性漫画家が扱った数少ない主題の作品と言えるでしょう。
もっと多くの作品を希望したいのですが、体験談でもない限り
こういった作品は難しいのかもしれません。
お見合いで結婚した夫とはうまくいかず、
妻として家庭に居場所がない主人公は、
我が子が性に興味を持ち始めたことに戸惑いを持ってしまう。
やがて母親としての自分を取り戻した彼女は
息子との後戻りできない迷宮へと踏み込みます。
この二人の絆が結ばれる運命の初夜を迎えた理由が
「家庭内で居場所がない妻」というのが
女性漫画家ならではの視点と言えます。
後半で医師が説明しますが、母と息子が陥る蟻地獄の描写を
的確に表現していますし、断崖絶壁に立つ
女性の心理にも思えます。
その複雑な心理を最も描写していると思えるのが母と子が
一緒に買い物しているしている場面です。
複雑な立場とは言え、家庭に居場所を取り戻した女性の姿ですが、
知らずに底無し沼のような倒錯の魔界へと踏み込み始めている
ように見えます。
そして一度ならず何度も母は愛する息子と絆を深める
ただひとつの道と信じて自らも倒錯の世界へ
堕ちることを決意します。
あっさりしていると感じるか、割り切っていると思うか、
男性の視点では禁断の情事の描写が評価が
分かれると思いますが、この作品がアダルトではなく、
一般作品に分類されている以上致し方ないと言えます。
意外な展開と思うかもしれませんが、やがて息子は
一流大学を卒業して大企業に勤め、結婚と子供も授かり
他人が羨む人生を送ります。
しかし心に歪みを抱えたままの息子は、
破壊的な結末を選択してしまいます。
その時点で息子の父は、越えてはならない一線を
越えてしまっていた母と子を医師から説明され知ることになります。
後味の悪いラストと評価されるコメントが多いですが、
初掲載が85年であることを考察するなら、
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好景気の時代あたりの作品を当プログで紹介できたことは
感慨深いことです。
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掲載 YOU 1985年10月・11月号